山火事に囲まれた館の中で起こる殺人事件!解明か脱出か!?という気になる通常のとは違うシチュエーションで起こる殺人事件のミステリー「紅蓮館の殺人」
今回は、Audible (オーディブル)で聴いてみた感想をネタバレ有りと無しでお伝えします!
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「屍人荘の殺人」を本とAudibleで比べてみました。
目次
書籍情報
※Amazon評価は記事投稿時点です。
著者:阿津川 辰海
ジャンル:ミステリー
発売日:2019/09/20
配信日:2021/06/25
聴了日:2021/10/04
読手:岡井 カツノリ
再生時間:12 時間 41 分
内容紹介(Amazonより引用)
全焼まで、残り35時間。 館に山火事迫る! 殺人の真相を解き明かし、絡繰だらけの館から脱出せよ。
山中に隠棲した文豪に会うため、高校の合宿を抜け出した僕と友人の葛城は、落雷による山火事に遭遇。 救助を待つうち、館に住むつばさと仲良くなる。 だが翌朝、吊り天井で圧死した彼女が発見された。 これは事故か、殺人か。 葛城は真相を推理しようとするが、住人や他の避難者は脱出を優先するべきだと語り――。 タイムリミットは35時間。 生存と真実、選ぶべきはどっちだ。
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「紅蓮館の殺人」のネタバレ無し感想
殺人事件の舞台としてのクローズドサークルが起きる理由が山火事という本作。作中でも『館消失まであと○○時間○○分』と館が燃え尽きるまでをカウントダウンしてくれます。
実は”館が山火事に囲まれる”という事しか把握せず聴いていました。ですので、被害者が誰か知らずに聴いていたので・・・
これは…
— 聴書 (@cyo_syo) October 1, 2021
死亡フラグか。
最初の犠牲者がチラついてきた。#紅蓮館の殺人https://t.co/djUr9oPkiH
こんなTweetをしていました笑
わかりやすい死亡フラグの後に亡くなったつばささん。その現場は不可解な様子・・・
これ、本当に不可解です。何度聞いても部屋の仕掛けがよくわからず。Amazonのレビューを見ても同じような意見が有りました。その意見によると、小説では図解が有るとの事!しかし、このaudible作品には資料PDFも有りません!ただでさえ状況把握が難しいaudibleで図解無しとは!
結局私はそこはざっくりとした把握で聴き進めたのですが・・・図解が気になったので聴き終わった後ですが、図書館で借りて読んでみました。
なるほど!イメージとちょっと違った笑 これは図解欲しいなぁ
という事で、そのページの写真をここに載せますね。、気になる人は下記を開いてみて下さい!作中中盤の死因のネタバレになりますが、犯人やその方法は記載していません。
この図解を見た上で、仕掛け説明を聴くとなるほどな感じです。私は天井に沿った湾曲がイメージ出来ていなかったので、階段のギザギザと平な天井に挟まれたイメージでした。
しかし、ここに挟まれたのなら、本当にぺしゃんこな遺体だったんですね・・・
文庫本をパラパラっとめくって見つけた図解も載せておきますね。
私がイメージしてた建物像と少し違いました笑
表紙のイラストと見取り図、一致していないような・・・?二階の吊り天井部屋の壁の窓ってどうなってるのー!?
総合的な感想として・・・
犯人とその動機に非常に驚きました!
ミステリー小説としては面白いとは思いますが、続編である「蒼海館の殺人」と合わせての作品とも感じました。
また、この作品のウリとしている山火事に囲まれたというシチュエーションがただのクローズドサークルの原因なだけになっていて活かしきれていないのが残念です。
独特なシチュエーションのクローズドサークル作品として思い付く「屍人荘の殺人」はそのシチュエーションを活かしたトリックも有り、タイトル回収もして良かったなぁ
「紅蓮館の殺人」のネタバレ有り感想
この作品を聴いて一番驚いたのが「犯人が殺人鬼である”爪”で、動機が快楽殺人」という事です!
クローズドサークルで、「この中に殺人鬼○○がいるかも?」という展開は多々有りますが、実際にその通りで、ただ殺したかったという理由で殺した作品は私の中では初でした笑
普通、殺人鬼に見せかけた見立てとか有って、なんか悲しい理由とか有って殺すのがクローズドサークルでしょ!いや、確かに驚いたけども!
驚いたけど・・・この方向の驚きはイマイチだなぁ
山火事というシチュエーション
山火事ならではの殺人トリック、アリバイ工作、証拠隠滅方法など・・・もっと山火事を活かす方法は有ったのは!?
奥さんの殺人はそうとも言えるけど・・・奥さんの殺人は前日談的な印象が有るからなぁ
せめて館に火が回るのは犯人のせいとか有ればまた違ったんだけど。結局ただのクローズドサークルな理由なだけ。
登場人物について
ちょっと偶然が奇跡的確率過ぎる気がします。
たまたま、田所達が訪れた館が山火事に合う。そして宝田邸には財産を狙う詐欺師と盗賊が揃っていた。それはまぁこういう話だし、いいと思うんですが・・・
そこに10年振りに憧れの飛鳥井と再開する。
その飛鳥井はたまたま保険の仕事で久我島の家に訪れる。
その久我島は久しぶりに人を殺したところだった。
クローズドサークルに閉じ込められた人物達が実は過去の因縁の繋がりが有るという展開はよくある話では有りますが、その時も大抵、実は真犯人に集められていたとか、そういう人達が集まるから事件が起きたという話だと思います。
殺害動機が場当たり的な快楽殺人だからそんな過去の因縁は要らないわけですが、やっぱりミステリー小説は殺害動機も仕方なかったと納得したいと考えるので、微妙さを感じてしまいます。
あ、あと。小出ですね。盗賊という非日常過ぎる役回り。そして謎に男っぽい話し方をする女性。女性の必要が有る展開はほぼ皆無で、男にするか普通に女性の話し方で良かったのでは?そこも普通じゃないので、かなり浮いた存在に感じました。
「蒼海館の殺人」へ続くお話。
葛城君が飛鳥井さんに打ちのめされ・・・
「それでも僕はー謎を解くことしか、出来ないんです」
と言葉を発したところで、「紅蓮館の殺人」は終わります。そして続編である「蒼海館の殺人」でも、葛城君は全く同じ言葉を発します。この「紅蓮館の殺人」を聴いて(読んで)いるとそのシーンはなかなか印象的です。
また、個人的には「蒼海館の殺人」の方が面白かったのも有って、「紅蓮館の殺人」の次は「蒼海館の殺人」を聴いて(読んで)欲しいです!
紅蓮館(ぐれんかん)
あと・・・聴き逃しで無ければ・・・序盤で「紅蓮の炎に巻かれて・・・」とは有りましたが、「紅蓮館(ぐれんかん)」という言葉出てこなかった気がします。
当然、山火事という紅蓮の炎に巻かれた落日館が「紅蓮館」だとは思いますが、作中でシチュエーションタイトル回収はして欲しかったなぁ
Audible (オーディブル)で聴いた感想
○誰が話しているかわかりやすかった。
Amazonの小説レビューでも文章だと誰が話しているかわかりにくような事が書いてありますが、audibleでは、ナレーターの岡井 カツノリさんがしっかり人物を聞き分けやすく演じてくれたので、誰が話しているかを疑問に思うシーンが少なかったと思います。
×目次について
同時期に聞いた「ペッパーズ・ゴースト」が細か過ぎる目次でわかりにくかったのですが、この「紅蓮館の殺人」は反対に大雑把過ぎて不便でした。
- プロローグ 04:05
- 第一部 落日館 6:32:48
- 第二部 カタストロフィ 4:20:45
- 第三部 探偵に生まれつく 1:25:23
- エピローグ 18:46
特に第一部とかは6時間半なので、途中まで聞いて、聴き戻るとさっきまで聴いていたところに戻るのが非常に大変です。
特にこの作品は殺人が行われた部屋がわかりにくいので、理解する為に聴き戻りたくなります。でも、さっきまで聴いたところの時間をちゃんと把握していないと、戻るのが非常に大変です。
audibleのデメリットの一つですが、時間を把握していないと内容を聞かないとその場所かどうかがわかりません。その為、下手をしたら先に進み過ぎたところを聴くことでネタバレを喰らってしまいます。
小説でもページを忘れるとそのような事はありますが、残り時間で判断するaudibleの方が圧倒的にその確率が高いです。
目次がある程度細かに、そしてわかりやすく設定してあるとその心配がたいぶ軽減されるのですが・・・この「紅蓮館の殺人」は不便な目次でした。小説の目次に合わせているようですが・・・
第一部の途中に「二 決行 館消失まで35時間19分」とか有ったのでその単位に目次を作って欲しかったですねぇ
終わりに。
「紅蓮館の殺人」の続編で「蒼海館の殺人」が有ります。
audibleでも既に配信が開始されていて、この記事を作成している時には「蒼海館の殺人」は聴き終わっています。
「蒼海館の殺人」では「紅蓮館の殺人」でモヤモヤした点がなく、個人的には面白かったと思います。また、二作品は全く別の事件を描いていますが、田所&葛城コンビの物語としては前編、後編になっているように感じました。
「紅蓮館の殺人」が面白かった人にはもちろんオススメしますが、「紅蓮館の殺人」が面白くなかった人にも「蒼海館の殺人」は是非読んで欲しいと思います!