青山美智子 さんの『赤と青とエスキース 』(ナレーター:井上悟さん)をAudible (オーディブル)で聴いてみた感想をネタバレ有りと無しでお伝えします!
\最初の2ヶ月は無料で体験出来ます(5/11まで)/
Audible (オーディブル)はAmazonが提供する本が聴けるサービスです。
登録について、他の聴くメディアとの違いについて
「屍人荘の殺人」を本とAudibleで比べてみました。
目次
書籍情報
※Amazon評価は記事投稿時点です。
著者:青山美智子
ジャンル:絵画を巡るお話
発売日:2021/11/10
配信日:2022/03/04
聴了日:2022/04/20
読手:井上悟
再生時間:6 時間 48 分
内容紹介(Amazonより引用)
2021年本屋大賞2位『お探し物は図書室まで』の著者、新境地にして勝負作!
メルボルンの若手画家が描いた1枚の「絵画(エスキース)」。 日本へ渡って30数年、その絵画は「ふたり」の間に奇跡を紡いでいく――。 2度読み必至!
仕掛けに満ちた傑作連作短篇。
●プロローグ
●一章 金魚とカワセミ
メルボルンに留学中の女子大生・レイは、現地に住む日系人・ブーと恋に落ちる。彼らは「期間限定の恋人」として付き合い始めるが……。●二章 東京タワーとアーツ・センター
30歳の額職人・空知は、淡々と仕事をこなす毎日に迷いを感じていた。そんなとき、「エスキース」というタイトルの絵画に出会い……。●三章 トマトジュースとバタフライピー
漫画家タカシマの、かつてのアシスタント・砂川が、「ウルトラ・マンガ大賞」を受賞した。雑誌の対談企画のため、二人は久しぶりに顔を合わせるが……。●四章 赤鬼と青鬼
パニック障害が発症し休暇をとることになった51歳の茜。そんなとき、元恋人の蒼から連絡がきて……。●エピローグ
Amazon
水彩画の大家であるジャック・ジャクソンの元に、20代の頃に描き、手放したある絵画が戻ってきて……。
「赤と青とエスキース 」のネタバレ無し感想
エスキースは絵を描く時の下書きみたいなもの。
第一章で、とあるエスキースが書かれたエピソードが描かれます。
第二章では、そのエスキースを飾る額縁についてのエピソード
第三章では、その額に入ったエスキースが飾ってある喫茶店で漫画家の対談取材のエピソード
第四章では、その漫画家の漫画を持っている男性と女性のエピソード
簡単にまとめるとこの4つのエピソードとエピローグの5つのお話です。(プロローグは有って無いような短いものでした)
第一章で描かれた1枚のエスキースが色んな時と場所を巡った物語となっています。また、各お話の中で、エスキースに加えて、赤いものと青いものが登場します。各章のタイトルが「赤いものと青いもの」であり、本のタイトルが「赤と青とエスキース」となっています。
また、エピローグを読む事で、全てのお話の結び付きを更に強めた上で、短いプロローグの意味を回収してくれます!
どの話も綺麗にまとまったいいお話でした。二度読み必須という仕掛けも全然気づきませんでした。気付いて聴き直すと違った視点で楽しめました!
多少のすれ違いはあれど、悲劇的な出来事もなく、悪い人もいません。
読後感も爽やかで、非常に良かったです!
「赤と青とエスキース 」のネタバレ有り感想
また、各お話の中で、エスキースに加えて、赤いものと青いものが登場します。各章のタイトルが「赤いものと青いもの」であり、本のタイトルが「赤と青とエスキース」となっています。
と、書きましたが、それはミスリード(?)でした。もちろんそういった短編集のタイトルと言った意味合いも0では無いでしょうけど…
このお話は「エスキース」を巡ったバラバラな4つのお話…ではなく、実際には、「立花茜(レイ)」、「円城寺蒼(ブー)」の二人と「エスキース」の物語で、「赤と青とエスキース」だった事がエピローグを読むとわかります。
1章 | レイ | ブー |
2章 | 立花 | 円城寺 |
3章 | ウエイトレス | 顎髭の店主 |
4章 | 茜 | 蒼 |
ジャックジャクソンがエスキースを書いている時に閃いた事やレイとブーのあだ名の由来でへーと思った事を皮切りにエピローグの怒涛の伏線回収は驚きの連続でした!
ジャックジャクソン視点の2章の頃の話になった時に空知と会えたのかなーと思って聴いていたら、まさか画商の男女がレイとブーだったとは!
次の3章の頃のお話では、4章の途中ぐらいから、初老カップルがなんとなくレイとブーだと思っていました。ですので3章が一番、エスキースとの関わりが薄いと思っていたのですが…まさか名前も出なかったモブキャラ的な店主とウエイトレスがレイとブーだったとは!
4章の頃の話になった時は、二人がレイとブーと察していたので、流石にもうサプライズは無いかと思っていたら…まさかオーナーがユリさんだったとは!
いやー驚きの連続でした!
そういった関係が分かってからもう一度聴き直すと物語により深みが増していきました!また、物語の最後にプロローグの数行を入れてくるのも素敵でした!
Audible (オーディブル)で聴いた感想
一章はエスキースを書いている様子とレイとブーとの出会いからのお話が交互(なはず…)に描かれます。
聞いてても場面転換のタイミングが分かりにくく、内容でいつ頃の話なのかを理解しながら聴いていく必要があります。
たまたま、原作の本が手元に有ったのですが…


本では◇と*によって場面転換のタイミングが分かりやすくなっていました。
マークを読み上げろとは言いませんが、もう少し分かりやすく間を取ってくれるとありがたかったなぁと感じました。
四章は中年男女がメインの登場人物となるのですが、若く感じてしまう演技でした。年上のオーナーのセリフはしっかり年齢を感じる演技でしたので、ナレーターさんがそういう演技ができないわけでは無いかと思います。
登場人物をイメージしての演技なんでしょうけど…やはり年齢は感じるようにして欲しかったと感じました。
と、あえて気になる点を書きましたが、概ね満足です!
終わりに。
- 読後感が良い。
- 7時間弱で短めな事。
- 短編集なので一編あたりが短い。
- それぞれの短編がしっかり独立もしている。
- 全体を結びつける仕掛けもある。
そんな事もあって気軽に何度も聞ける良作です!
個人的には2022年の本屋大賞で一番好きだし、オススメしたい一冊でした!